吠えてないで噛み付きなよ。

就活生がすなる自己分析といふものを、我もしてみむとてするなり

昔々あるところに、自分のやりたいことをやってきたし、やりたいといったことは大概はやらせてもらった少年がいました。具体的に言うと水泳とか書道とかサッカーとかをしました。でも「俺はギターで食っていく」と言った時は全力で止められました。止めてくれて本当に良かった。14歳になり中二病真っ盛りな少年は恋に落ちます。この頃の恋などほとんど病気みたいなもので、少年は浮かれポンチのクソ野郎でした。Gmailでずっとメールしてた。結局3ヶ月でフラれる少年は、しかし強烈な知見を得ました。「誰かのために何かをするのは楽しい」自分の行動で誰かが喜んでくれることは少年にとって何者にも代えがたい幸福だったのです。それまでなんとなく周りに馴染めず疎外感を感じていた(少年はthe pillowsとかcoccoとか同級生はあんまり聞かないような音楽を聞いてニヤついていました)少年にとって、それは幸せになるためのほとんど唯一の手段でした。

それから少年は青年になり、高校に通ったり、ギターを弾いたり、大学に落ちたりして過ごしました。青年は側にいる人を喜ばせようと努力しました。でも結構失敗していたような気がします。だいたい気が緩んでいるときに不用意な発言をするのがお決まりのパターンでした。青年はこの癖をいい加減直さないといけないと思います。だいたい危機というものは安心しきった時に発生するものです。相手が勝ち誇った時そいつは既に敗北しているのです。ジョセフ・ジョースターのやり方は老いてますます健在です。3部アニメは最高でしたね。あんなジジイになりたい。

そしてある時、部屋であんかけチャーハンを食べていた青年は気づきます。「ああ、俺は自分一人では決して満足することができないのだ」そう、青年はいつの間にか手段と目的をすり替えて生きていたのです。いったいいつからこんなことになってしまったのか、それとも始めから(中学2年生の時に同じクラスの金森さんと付き合った頃から)取り違えていたのか。幸せに生きるための手段であったはずのそれにしがみつく己の姿はとても滑稽に見えて、青年は高校卒業以来部屋の隅で埃を被っていたギターに触れ、Eのコードをぽろんと鳴らしましたが、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが言っていたように指先解放二弦の刹那と想像力で世界を変えるには、自分は年を取りすぎているように思えました。あんかけチャーハンのあんが少ししょっぱくなったような気がして、青年は顔を歪めましたとさ。

そんなわけで、人に喜んでもらうと嬉しい少年はこの後どうやって生きればいいのかなんですけど、誰か教えてください。とりあえず髪を切って新しい服を買った。失恋した中学生女子みたいな行動しかできない。誰か俺の欲望を探してくれ。たぶん福岡から京都の間で落としてるはずなんだ。あーでも法律はもっと勉強したい。今の俺には向学心しかない。幸せに生きたい。うんこ。さようなら旧世紀。

※この物語はフィクションです。ほんとほんと。

 

ワールド ワールド ワールド

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