吠えてないで噛み付きなよ。

ミーハーな人とハードボイルドジャズと

失恋の話をします。

 

人に影響されやすい性格をしているので格好いいと思ったことはすぐ真似してしまう。昔からどうしても自分を無条件に肯定することが難しくて、自分じゃない誰かになりたいという願望が強かったせいかもしれない。格好よくないと自分には生きる価値がないと昔は本気で思っていた。だからソフト帽はマネークリップで腰に留めるし、椎名林檎は今でも聞いてるし、撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだし、男の仕事の8割は決断だと思っているのだけど、好みがすごく偏っているのは自覚しているのだけれど、今更三代目 J Soul Brothersとか西野カナとかを聞ける気はしないので、たぶんこのまま死ぬまでカッコつけ続けるんだと思います。ATSUSHIとは別ベクトルの方向に。最近ソフト帽は被ってないけど、多分一生剃りこみ坊主にはしない。サングラスもかけない。会いたくて震えたりもしない。仮面ライダーは見る。

 

そんな感じで人に引きずられる性格なので、終わる前はもう少し感傷に浸るのかなと思ってたけれど、終わってみると存外ケロッとしてて、会った人にそういえば最近彼女と別れたんですけどぼく結婚できるんですかねハハハなんて言ってて、じゃあ本気じゃなかったのかなというと別にそんなことはなくて、これまでと同じようにその人のことを愛していたのだけど、でも色々なことを考えたりイラついたりしながらも、結局明日も腹は減るし、将来のことも考えなければいけないし、そこに留まり続けることはできなくて、結局のところ自分には目についたバーに入ってお気に入りのウイスキーと一緒に何もかも腹の中に押し込めて歩いて行くより他にない。 

これは分別がつくようになったのか、それとも痛みに慣れて鈍感になっただけなのか、よくわからないしきっと生涯わかることはないんだろうな、ぼんやりとそんなことを思って、ジェントルマン・ジャックと将来への焦りが綯い交ぜになって消化管を流れていくのを感じながら、終電に間に合うようにバーを出て(京都ではめったに電車に乗らないので福岡で遊ぶとよく終電を逃す)、イヤホンからジャズを流しながら中洲の街を歩いて、今のところ福岡ではそうやって過ごしています。新しく買ったコートを着て、次は誰に会いに行こう。

 


NONA REEVES / ガガーリン

意識を失くして「ダスヴィダーニャ」